金曜日, 12月 29, 2006

このブログサイトを移転しました

このブログサイトを下記はてなダイアリーに移転しました。

http://d.hatena.ne.jp/quarta/

日曜日, 12月 24, 2006

記憶のメカニズムに関する発見と、ある日本人のサバイバル・ミステリー

NYタイムズやBBCニュースの科学欄記事は項目が多い上にそれぞれの分量が多いものだから、やはり、追いかけて行くのは大変だ。


記憶は脳の海馬と新皮質との「対話」によって定着するとの、従来から言われてきた仮説が、脳の電気的実験結果から確認できたとされる18日の記事は非常に興味深い。
http://www.nytimes.com/2006/12/18/science/18memory.html?_r=1&oref=slogin
In Memory-Bank ‘Dialogue,’ the Brain Is Talking to Itself

ウェブサイトに掲載した要約を再録すると次の通り。

Daoyun Ji and Matthew A. Wilson, researchers at the Massachusetts Institute of Technology による、Nature Neuroscience のウェブサイトに発表された研究
―― 脳の海馬中にplace cellsと呼ばれる細胞群があり、地図のように位置情報を再現する。ネズミが眠っている間、昼間にある場所を通過した際に起きた電気的刺激の連続が高速でしかも逆方向に再現し、同じ事が新皮質にも生じており、少しの時間のずれがあるという実験結果から、次のような推論を行っている。
◆海馬の視覚に関わる部分と新皮質との「対話」によって記憶が定着するという説が実験的に確認できた。◆この対話を統括する第三の部分があると予想。◆対話は新皮質の側から開始される。◆新皮質は海馬で進行していることの意味を捉えようとしている。◆睡眠の機能の一部を説明できる。◆海馬中の生の記録は消えることが無く、記憶の消失は新皮質との連絡の消失である。◆ネズミも視覚的な夢を見る。

海馬中に記録された消えることの無い生の記録の実態は一体何なのか。また新皮質が海馬で進行していることの意味を捉えようとしているという認識は分かるような気がするが、しかし新皮質という臓器、物質的な臓器が「意味」を捉える、認識するとはどういうことなのか、等々、興味は尽きない。


六甲山で遭難し、救助された人物が冬眠状態であったというニュースは当然日本で報道されているが、日本のニュースサイトでは科学欄の記事としては取上げられていなかったように思う。このニュースがBBCニュースの科学欄で取上げられている。この記事では当のUchikoshi氏の発言として、太陽の降り注ぐ草原で横たわっていたという最後の記憶が紹介されていたが、この発言は日本のニュースでは聞いていなかった。
イギリスの栄養学の権威者の発言として、水分を全く摂らずに生存していたとは信じられないとのコメントが最後に来ている。

とにかくこういう事実は忘れられることなく、無視されることなく研究され続けて欲しいものだと思う。

土曜日, 12月 23, 2006

科学と権利 ―― 動物実験の問題

最近BBCニュースの科学欄では動物実験に関する記事が相次いでいる。
類人猿による実験のおかげで脳に起因する難病が治療できた少年の話http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/6162735.stm
があり、それと関連して人以外の霊長類による動物実験の規制が緩和されようとしている話http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/6161317.stm
があり、さらに動物実験の倫理に関する記事が続いていた。また倫理とは別に動物実験が必ずしも有効でないことを示す研究データも続いた。

http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/6161317.stm
上記によると、イギリスでは1997年以来、大型の類人猿を使う動物実験を許可していないが、霊長類を使うことを強力に正当化できるようなケースがあるとする報告が出され、これを支持する科学者たちと、非難する動物愛護団体とに軋轢が起きているということである。日本ではどうなのだろうか。

http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/5365206.stm
The ethics of animal research 上記では、動物の「権利」について論評している。これは科学上の発見の話ではないが、科学と「権利」に問題がついて回るということは――個人的には―― 一つの発見であり、再認識だった。権利という言葉、概念と科学との関わり、これは言葉に関する問題としても重要なテーマではないかと思う。類人猿の権利というと、類人猿研究という特別な分野だけの問題のように見えるけれども、最近の環境論などでは地球の権利といった概念も出ているかもしれないし、そうであってもおかしくない。 天然記念物や国立公園、世界遺産などもそういう意味合いがある。

この記事では(Professor Michael Reiss )基準作りが必要だということ、実験による恩恵と犠牲を計算し、秤に掛けることが必要だといっているが、そのような計算法は誰も知らないととも言っている。
とにかくイギリスでは日本やアメリカに比べても動物実験に関わる論争が活発になっていることが分かる。

他方、日本では臓器移植の是非の問題が続いているが、英米ではそういう問題はもう過去の問題になってしまったかのようにみえる。例えば科学記事ではないが、日本で腎臓移植が難しく、臓器が「不足」している状態を異常なこと、とんでもない後進性のような捉え方の記事があったのを記憶している。臓器移植が当たり前のようになって議論もされなくなってしまったことが良いことなのか、良いことでないのか。どうなのであろうか。

日曜日, 12月 17, 2006

嗅覚関連と太陽系関連

アメリカでの「匂いの秘密」の書評が面白かったのでこのブログに取上げたが、13日には日本でのその方面の研究結果が報道された。
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20061213ddm016040004000c.html匂いの秘密の著者Turin の説との関連があれば面白いのだが、と思う。

天文、宇宙に関する話題には正直言って最近はあまり心を動かされることが無かった。昔のように、初めて月に行った、初めて宇宙遊泳した、といったインパクトのあるニュースが無くなり、各種分野の専門性に関わる発見が多くなっていることもある。しかし考えてみれば、「初めて宇宙遊泳した」とか、「初めて月に行った」といった事件は発見ではなくて経験である。それらに続く多種多様で、ある意味、散文的な調査結果こそが発見の内容である筈だ。
BBCニュースでヨーロッパの土星調査衛星の調査結果が報道されていた。こういうニュースはもちろん日本でも天文関係のサイトでは報道されているのだろうが、一般の新聞では必ずしも報道されないようだ。
このニュースの見出しは土星の衛星であるタイタンで大きな山脈が見つかったという内容である。その山脈の成因を始め、地質構造や化学成分の面でタイタンの現在が過去の地球の状態と非常によく似ていることが説明されている。
タイタンという名前は衛星の名前としては確かに最もよく聞く名前であり、地球と似ているということも聞いたことがあるように思う。この様に具体的に調査結果を見てみると、確かにタイタンの調査は地球の月よりもはるかに、またある面では火星や金星、また他の惑星以上に興味深く重要なものであるのかもしれない。

同様に、日、英、米の何れのニュースサイトにもNASA のスターダスト・ミッションの報告があった。http://www.asahi.com/science/news/TKY200612140414.html
この、asahi.com の記事とNYタイムズの記事は大体似た内容で、彗星の成分分析結果から見た、彗星と太陽系の生成過程に関する知見である。両者にブラウンリー教授という名前が出てくるが、いつものとおりNYTの方がずっと詳しく、直接の談話として出てくる。また他の関係者の談話もある。しかし、asahiの方にはNYTの記事には無かった太陽系とサンプル採集位置の図面があり、これは非常にこのミッションの理解の参考になる。
BBCニュースでも同じミッションの報告ニュースがあったが、こちらは全体として最も詳しく、特に有機物を調査している研究者の談話が中心となり、見出しに現れているように生命の起源との関わりを示す物質の話が最初の大きな部分を占めている。
身近な、切実な問題で煩わされるのに疲れると、こういった話は一種の逃避になるのかも知れない。

木曜日, 12月 14, 2006

毎日のように大きな発見のニュースがある

このウェブサイトを開設し、更新を始め、そのために大体毎日5つのニュースサイトの科学欄に目を通すようになったが、こういうことを始めてみると、毎日のように大きな科学上の発見のニュースがあるのに改めて驚かされる。
もちろん発見とは言ってもある程度は知られていたことも多いのはもちろんである。特にそういうケースで多いのは地球温暖化に関わる数々の発見、知見であって、このところ特にBBCニュースで、毎日のように温暖化説を補強する、調査結果などがトップニュースに近い形で出ている。
昨日は北極の万年氷がもう直ぐ消滅しそうだというニュースが各サイトの、特にBBCニュースではトップニュースになっていたが、今日も南極に関するニュースが現れた。といってもこれは国際調査のあるプロジェクトが始まった話で、南極にあるアルプスに匹敵する氷の下の山脈の、飛行機による調査という話である。この山脈は50年代にソ連の観測隊によって発見されたそうで、ロシア語の名前がついている。こういうことは全く知らなかった。また少し以前でこのウェブサイトのリストには載せていないが、やはり南極の海岸部にあるice shelfに関する研究の記事があった。南極は北極とは違って大陸であるから、北極よりもはるかに複雑な問題があることをうかがわせる。
他にも温暖化に関わるニュースがあり、やはりBBCニュースで、海底の堆積物中のメタンを含む氷の調査結果であり、こういう物質が深海底に存在することは知っていたが、今度のカナダ沖での調査では堆積物中の、予想よりも浅い個所で発見されたこと、さらには世界中で全ての化石燃料の合計の2倍以上もの埋蔵量があるとのデータなども紹介されている。CO2の何倍もの温暖化要因になり得るだけに、一面では恐ろしいく、他方、エネルギー資源として利用できる可能性があるのだから夢のある話でもある。

火曜日, 12月 12, 2006

動物、人類、地球、惑星、素粒子

ここ数日で素粒子から動物、人類、地球、惑星に至るまで多くのニュースが出てきている。
6日の(asahi.com) の記事で、海洋や湖に住む鳥類と哺乳類、マッコウクジラからペンギンに至るまでの泳ぐ速さはそう変わらないという、研究結果が報告されている。動物の大きさの違いによる、数値に表れるような様々な性質、特質に関しては色んな話題があり、大抵は何乗かに比例したりという話だけれども、これは大きさに関わらず一定という話で珍しいと思う。
エボラ出欠熱によるゴリラの絶滅の危機に関するニュースではそれぞれの記事に多少の視点の違いがある。(NYT)の記事ではエボラ出欠熱だけではゴリラは滅亡には至るものではなく人間による密漁などの問題があるという見解を紹介している。(BBC)の記事ではこれまでの、人間のエボラへの感染は密漁での肉の流通が原因になっているとの見方を紹介している。他方、日本の記事では、「ゴリラやチンパンジーなどの霊長類が絶滅に向かうと、ウイルスは自らの生き残りをかけ、新たな宿主を求めることがある。その時、人類が新たな宿主になる可能性が高い。」という外務省の専門家の話を紹介している。この話だと、ゴリラなどが人間に対する防波堤のような役割を果たしているような印象を受けるが、現在既に、人間とゴリラとに平行してエボラが流行しているように見えるのだけれども、それでもこういうことが言えるのかどうか、ちょっと疑問に思った。
火星表面の溝が水流によって出来たとされる記事も多くのサイトが取上げている。この件では(B)だけが、水ではなく液体CO2による可能性を主張する科学者たちもいることをのべている。
(06/12/08)「素粒子:高密度下で質量が減少 宇宙誕生時、謎に迫る--理研・京大チーム確認」 (毎日) このニュースは(毎日) だけに見られた。素粒子に関する話題は日常からかけ離れていることと、理論の難解さで敬遠され勝ちであるけれども、この記事は質量の発生、獲得といった根本的な問題を扱っているだけに注目せざるを得ないと思う。実験の結果だけで理論の詳細は説明もされていないし、また分かりもしないけれども、こういう研究に関して思う、あるいは気になることはエネルギー保存の法則の問題である。宇宙誕生時のことはさておき、少なくとも現在でのエネルギー保存法則との関係はどうなのか、気になる。

日曜日, 12月 10, 2006

味覚と嗅覚と視聴覚に関する2つの記事

最近ニューヨークタイムズに2件、それぞれ味覚と嗅覚に関する記事が相次いで出た。11月23日の記事と12月3日の記事である。

味覚と嗅覚との関係は良く分からないが、他に風味という言葉もあり、密接な関係があることは確からしい。前者記事の内容は味覚と聴覚との共感覚に関するもので心理学の研究であり、感覚の生理学的なメカニズムに関してはあまり言及がなかったが、後者記事のほうは嗅覚のメカニズムがテーマである。

後者は嗅覚のメカニズムに関する Luca Turin という生物学者の著書の書評であるが、評者は著者のことを匂いの詩人と表現している。私は知らなかったが、経歴に関する部分ではNombre Noirという日本の香水のことも出てくる。Publicityで人気のある学者であって、学界では異端者扱いの面もあるらしい。

味覚と嗅覚という、似たような感覚の話題であること以上に両者の記事内容に関連があるかどうかは分からない。しかし共通するキーワードがあるとすれば、それは「振動」だろう。というのは、前者では主として聴覚と味覚との関連を扱っているが聴覚や視覚は音波や光といった波動に深い関係がある。それに対して後者の記事では嗅覚も一種の振動に関わっているという説が紹介されているからである。
もしもこの説が正しいとすれば、嗅覚も振動、波動の感知に関わる感覚ということになり、聴覚と視覚の仲間に入ることになる。さらに思い起こしてみると、熱も振動の感知である。
とにかくこの問題は非常に興味深いし、この学者が学界よりもPublicity で人気があるというのも納得できる話である。

振動、波動といえば、例えば水晶の波動が健康に良いなどといった、科学者からは似非科学とか疑似科学などと云われる諸説で、よく使用される言葉、概念でもある。こういう諸説では波動、振動、バイブレーション等といっても何の波動かを言わないし、言うとしても心の波動とか、水晶そのものの波動とか、そういう程度の事しか言わないものだから多くの科学者からは相手にされないか、害悪視さえされている。

しかし、こういった話を聞くと振動、波動には実に多様な種類のあることが分かり、私などには殆どわかっていないことを改めて思い知らされる。分子の振動というと、個体の場合は熱の源泉という印象があるが、分子の振動といっても色々なのだろう。記事によると “inelastic electron tunneling,”という量子力学現象の難しい理論で説明される可能性があるということであるから。


もう一つ、こういった感覚の問題で重要と思われる問題は「意味」の問題である。音楽や造形芸術、すなわちイメージと意味との関係は哲学や心理学で着ていると思われるけれども、匂いとか味覚と意味との関係となるとどうなのだろうか。



日曜日, 12月 03, 2006

発見の「発見」

科学上の新規な発見、新分野、新研究、新学説、そういった諸々の、何らかの新しさを主張するニュースを、もちろん網羅することは不可能でもあり、望むところでもありませんが、インターネットの日本と英米の代表的ニュースサイトの科学あるいはサイエンス蘭から「発見」し、当面、私にとっての意味を考え、「発見」し、ブログで公開して行きたいと思います。

ニュースサイトから抽出したリンクのリストはウェブサイト発見の「発見」に掲載し、可能なものについては要約を作成します。